友人の結婚祝いにてんぷら屋を予約とは、これはなんだか大人になった気分。
今年はもっぱらあの明石縮だ。
草木染めの帯をしめ、草履を履いて、市ヶ谷台町の坂道をくだる。
背後にはこの夏一番の輝けるピンク色の夕焼け。
背中にはしとどに流れる汗。
麻の襦袢がももにまとわりついて、足さばきが悪い。
時間ちょうどに曙橋「てんぷら荘司」。
ここは先輩の塩出さんに教えていただいたおいしいお店。
割烹での経験を生かし、天ぷらと和食をほどよく交えてお出しくださるメニューとのこと。
駅そばとは思えない、落ち着いた空間には、
どっしりとした備前焼と
名前を失念したが、あの、ちょっとややこしい名前の…
「イム・サエムさんですね」
そうそう、その安南風ともなんとも言えない焼き物がかざってある。
秋田のしいたけ、そらまめ、はも、アスパラガス、
わらであぶった鰹のたたき、など。
ひけらかさず、技は手堅く、おしなべて繊細、つまり品がよい。
最後はたでが香る鮎ごはん。
2種類ついてくるデザートが、手がかけられているのにゴテゴテしていなくて、清潔なおいしさ。
(たとえば、凍らせておいた最盛期の苺を削って抹茶をかけたかき氷が印象的)
「このひらめき、すごいでしょう」的な嫌みな料理はひとつもない。
食べ手に緊張を強いない、
なんだろう、この戦わない料理の世界。
色白の奥様が、ずっとやわらかい笑顔で給仕してくださる。
お酒がすすむ。いやはや。すすんでしまう。
おいしかった椎茸をもう一度リクエストし、さらに手作りの(!)からすみを出してもらう。
「これは、前に塩出さんがお見えになったときにちょうどしこんでいたものです」
ああ、はるかニュージーランドの人と、つながっている、からすみの縁。
そういえば…前に塩出夫妻と会食した「MISHIMA」も、戦わない、繊細なおいしさだった。
締めのあゆごはんを食べ進むうちに、なんだか、塩出さんに会っているような懐かしい気がしてくる。
人の佇まいと好む食べ物には、共通する何かがあるのだろうか。
あるんだろうなぁ。
美食はもちろん刺激的なのだけれど
刺激=美食としてとらえるのではなくて、
食べたあとの幸せ感、翌日の体のコンディションの整い具合ではかることもできる。
揚げ物をあれだけ食べて、体が軽いって以外とない(まぁ、私は健啖ではありますが)。
それは、つまり体の芯からくつろいだのだと思う。
ごちそうさまでした。
【てんぷら荘司】
〒162-0065 東京都新宿区住吉町2-18-206 ウィン四ッ谷 2F
Tel : 03-5379-3557
都営新宿線 曙橋駅A1番出口より 徒歩0分
営業時間 : 昼 11:30〜13:30( 持ち帰りの弁当のみ)
夜 17:30〜23:00(ラストオーダー21:00)(コース20:30)
定休日 : 日曜日 第3月曜日(土曜、祝祭日は夜のみ営業)
http://tenpurashoji.web.fc2.com/index.html