11月4日 今の音は心がこもってないね。
思い出したので、ちょっと前にあったことを書く。
荻窪までマツモニカと軽呑みにでかけたときのことだ。
清潔で行き届いた白木のテーブルで
ぬる燗と、銀ムツの焼いたのと、
長芋のみそ漬けをあぶったのと(実によい店なのだ)、まぁそんなかんじ。
そのお店は、店員さんを呼ぶときに
小さなベルを鳴らすようになっていて、
お燗をもう一本、という段でちりん、とならす。
ベルを振る寸前、目の前の人間が音楽家だということに気がついた
その瞬間、腕からなめらかさが消えた。
(吹奏楽部でへぼパーカッション経験有り)
まんまと、ちりん、というよりはかちん、というような音がして
マツモニカ開口一番
「今の音は心がこもってないね」。
ええ、でも、いや、ほら、メロディって訳じゃないし、など口ごもると
「音のひとつひとつに心がこもってないと
いい音楽にはならないんだよ。」
真顔で言う。
この人がいい音色を追求するために
バカみたいに練習を重ねているのを私は知っている。
いい音楽とは技巧ではなくて、音色なんだってこと。
はたして、自分の仕事はいい音を出せているのかしらん。
私にできる毎日の練習と課題ってなんだろう。
というようなことを考えながら、もういちどベルを鳴らすと
本当にきれいな音がした。
ついでに酒肴道場に使えそうな思いつきをメモしておく。
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